2023年09月06日

第142話崩壊3P1

「弾道弾様のもの、艦隊に向け加速中!!この大きさは……まさか隕石??レーダー反射面積が異常に大きい!!」

 レーダーには、反射面積が威容に大きい3つの物体が降下している様子が映る。

「隕石?隕石堕としだと?」

 艦長、小圷は驚愕の声をあげた。

「まかさゲームに良く出てくるあのメテオか?何処までファンタジーな世界なんだ!!」

 副長が嘆く。
 ロールプレイングゲーム等において、よく使用され、ゲーム終盤で覚える強力な魔法、隕石を堕としその威力をもって敵を殲滅する「メテオ」が自分たちに向けられた可能性に、なんとも言えない気持ちになる。

「艦隊にメテオが向けられるなんて、なんて世界だ」

 誰かが叫んだ。
 イージス艦ちょうかい には、弾道弾迎撃ミサイルがあるが、小圷の額には冷や汗が伝う。
 小圷の思考は巡る。
 まず隕石の大きさや硬度が解らない。
 迎撃ミサイルのインパクト時は超高速にはなるが、果たして弾道弾迎撃ミサイルで隕石が割れるかどうかも解らない。
 そして敵の誘導方法が不明のため、隕石を割ったとしても、欠片が艦隊に向きを補正してくる可能性も否定できない。
 仮に迎撃出来たとしても、ミサイルの数には限りがあるため、ロールプレイングゲームのように連発されたら詰んでしまう。
 誘導の大元を破壊したいところだが、何処から誘導しているのか全く解らない。

 初期のみの誘導であれば高空で迎撃した方が、微かな角度であっても地上では大きな距離となるため、迎撃は早ければ早い方が良い。
 そもそもSM3は、弾道弾中間段階での迎撃を想定しており、終末段階はPAC3の領分だ。
 落ち始めた隕石に的確に実戦で当てなければならない。
 それにしても、日本国初の弾道弾迎撃ミサイルの実戦で、魔法、しかも隕石を迎撃することになるなんて、入隊時は全く想像も出来なかった。

 何れにせよ、考える時間が長くなるほど迎撃は困難となるため、艦長は即決する。

「弾道弾迎撃ミサイルを使用し、物体を破壊する
 SM3発射準備」

 艦橋に設置されたフェイズドアレイレーダーが隕石を捉える。
 反射波を感知し、瞬時に正確な高度と速度が計算され、ミサイル発射角を決める。
 
 迅速的確に迎撃ミサイルの発射準備が行われた。

「準備完了」

「撃ちぃかた始め!!」

 弾道弾は、亜音速の巡航ミサイル(時速1000km程度)や、超音速の戦闘機もしくは爆撃機(時速2500km程度)に比べ、速度が遙かに速く、文字通り桁違いの速さ(5万kmを軽く超える)であるため、かつては絶対防御不能の攻撃だった。
 数多の構想が生まれては消えていき、構想が現実となる事は無かった。
 
 やがて日本国から今までの技術を遙かに凌駕する弾頭制御技術が生まれ、空力制御の及ばない宇宙において迎撃する事が可能となる。
 ここにおいて、アメリカ合衆国の構想は実現に至る。 
 決して防ぐ事が出来なかった弾道弾という悪魔の兵器はもはや万能では無くなった。
 
 弾道弾迎撃ミサイルを搭載したイージス艦は、艦隊のみではなく、日本国そのものを護る盾の役割を与えられる。

 押された発射ボタン、電気的信号は瞬時に伝わり、その情報は前方に設置された垂直ミサイル発射装置に伝達される。
 ミサイル発射筒の蓋が開き、炎が吹き上がった。

 轟音と共に、イージス艦前部から科学技術の結晶が飛び上がる。

 神速を誇る大陸間弾道弾でさえも迎撃可能なミサイルは固体燃料ロケットに点火し、炎の尾を引きながら虚空に消えた。

 その数6発。

 イージス艦ちょうかいは、クルセイリース大聖王国の国家級敵国殲滅魔法(メテオ)に対し、弾道弾迎撃ミサイルを6発発射するのであった。

タグ:日本国召喚
posted by くみちゃん at 17:34| Comment(19) | 小説
この記事へのコメント
更新乙です
Posted by at 2023年09月06日 17:48
ミサイル発射の号令はは撃ち方始めじゃなくて

(ミサイル名)攻撃始め 発射用意撃てだと思うが
Posted by at 2023年09月06日 17:56
>反射面積が威容に大きい   威容 → 異様
>隕石堕とし  堕とし → 落とし
Posted by at 2023年09月06日 20:45
しかしまあなんとも珍しい苗字を使ってきたなあ
Posted by at 2023年09月07日 04:04
更新お疲れ様です!
Posted by at 2023年09月07日 15:16
更新おつです
Posted by at 2023年09月07日 20:28
ミサイルの速度調べても最高でマッハ20超、時速2万キロ代ぐらいまでしか見つからないんだけどマッハ50超(5万キロを軽く超える)とかホント?
Posted by at 2023年09月08日 19:03
鬼束姓とか唐澤、長谷川も起用してほしーな。
Posted by まさゑの孫(北斗の拳妄想伝の初代スレの名無しです) at 2023年09月09日 10:40
更新ありがとうございます!
ワクワクです!!
Posted by at 2023年09月10日 01:05
時速5万KMって第二宇宙速度(40300km)超えているんだが…
その速度だと地球の重力を振り切って帰ってこないぞ…
Posted by at 2023年09月10日 15:17
落ちてくる岩のサイズが直径数mを超えるようなら回避するしかない。迎撃ミサイルは命中しても表面で爆発するだけだからねえ
Posted by at 2023年09月10日 18:51
弾道ミサイルの速度が速すぎ
一番速いICBMでもマッハ20、時速2万5千キロ前後だし射程の短いノドン級のMRBMだと時速1万キロ、射程300キロのSRBMだと時速5〜6000キロとかその程度だよ

時速5万キロ超というとICBMどころか太陽系脱出を目指して飛び続けているボイジャー1号に迫るレベル
弾道ミサイルがそんな速度を出したら地球の重力圏なんか簡単に飛び出して宇宙の藻屑になるだけ
Posted by at 2023年09月10日 19:03
あと弾道ミサイル迎撃は別に日本の技術があったから実現したわけじゃないよ
PAC-3やTHAAD、SM-3の初期型やGBIは日本は絡んでないアメリカ単独での開発だし、日米共同開発になったSM-3 Block2Aにしても日本は2段目と3段目のブースター&ノーズコーンは担当したけどキネティック弾頭はアメリカ担当
Posted by at 2023年09月10日 19:05
この日本が召喚された世界では時速5万キロの弾頭があって、それを迎撃する術を日本が開発した、でええやろ
Posted by at 2023年09月11日 00:22
Posted by at 2023年09月10日 19:05
キネティック弾頭は日本も開発した
それは機動時間が長いけど精度が悪いアメリカ型か機動時間が短いけど精度の高い日本型のどちらが最適か比較検討するために行われた
最終的に採用されたのはアメリカ型だったが、日本とアメリカは元請け下請けの関係ではない。文字通りの共同開発
Posted by at 2023年09月11日 13:43
Posted by at 2023年09月11日 00:22

元の文は召喚世界のこの惑星じゃなくて現実世界の地球での話だから完全にアウト
Posted by at 2023年09月12日 19:56
Posted by at 2023年09月11日 13:43

それはSM-3 Block2A開発にあたっての話で、SM-3 Block1A/1BやGBI、THAAD、PAC-3は完全にアメリカの単独開発
だから日本の技術で弾道ミサイル迎撃が可能になったってのはどのみち間違ってる
Posted by at 2023年09月12日 19:59
弾道弾様のもの → 弾道弾の様なもの かな?
Posted by at 2023年09月13日 21:33
一応貼り付けておくね

【ワッチョイあり】自衛隊がファンタジー世界に召喚されました 第12章
https://mevius.5ch.net/test/read.cgi/bookall/1652608168/

自衛隊がファンタジー世界に召喚される作品について語りましょう
https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1643819849/
Posted by at 2023年09月17日 09:39
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