轟音がまるで別の世界の出来事であるかのように、心が静まる。
「総員残弾を置き、下山。聖都臣民の避難誘導に当たれ」
ダルサイノから出た言葉に、部下達は耳を疑う。
武器もまだある。
目以外は銃弾など通さない程強力な鱗で覆われていたとしても、撤退は許されないだろう。 まして、目を狙うなら同時に多くの者が攻撃した方が当たりやすいに決まっている。
部下達は命令の不可解さにかたまる。
ダルサイノは再度命じた。
「さっさと下山して避難誘導をしろ!!
のたうち回るあの蛇の目に弾を当てる事が出来るのは、この俺だけだ!!
お前達は邪魔だ、速く聖都臣民の避難誘導を行え!!
……自分たちの家族も避難させる事を忘れるなよ」
固まる部下に檄を飛ばす。
「ここから先は俺の仕事だ!!さっさと行け!!行けえええっ!!!」
部下達はダルサイノの意図に気づく。
「銃神ダルサイノの命に従います……どうか、無事帰ってきて下さい」
振り返らず、化け物を睨み付けるダルサイノの大きな背中……部下達は目に焼き付ける。
彼らは下山を開始する。
一人残されたダルサイノは微笑んだ。
「これが……俺の最後の大仕事だ」
彼は長年使い込んできた銃を手に取った。
◆◆◆
ターン……ターン……ターン
クルセイリース大聖王国伝説級魔導狙撃銃「エターナルクルス」の銃声が連続してこだまする。
山をも越える体躯を持つ大蛇の目を狙う。
魔法により、5kmは重力の影響を受ける事無くまっすぐに弾道が安定し、その後放物線を描いて飛翔する伝説の名工が作りし銃がなければ、とても戦えないだろう。
のたうち回る蛇の眼球付近に弾丸が集中する。
しかし、動き回る彼らの目に当てる事は困難を極めた。
減り続ける銃弾、化け物は何処から狙撃されているのか解らず、のたうち回りながら付近の山々を粉砕していく。
ダルサイノのいる山が粉砕されなかったのは、運が良かっただけだった。
「くそっ!!当たらない」
銃神ダルサイノは焦る。
やがて、部下の置いていった銃弾が残り1発となる。
(落ち着け、息を止めて銃身をブレさせるな、緊張でガク引きだけは絶対にするな!!)
ダルサイノは銃身のブレを防止するため息さえも止め、集中力を上げる。
自分の心臓音がやけに大きく感じた。
ターン
銃声がこだまする。
銃弾は魔導レールにより、5kmは安定して進み、そこから放物線を描く。
訓練され尽くした銃神の腕で、銃弾は化け物の目にまっすぐと向かっていった。
!!!!
「くっ!!くそっ!!!」
化け物の瞬きによって銃弾は跳弾し、まぶたを微かに傷つけるにとどまる。
■
聖都の燃える炎が天を焦がす。
最後の1発が外れ、ダルサイノは絶望と共に立ち尽くしていた。
万策が尽き、もはややれることは何も無い。
化け物はまぶたを傷つけられ、怒りに狂う。
奴は聖都に頭を向け、進み始めた。
「終わった……これまでか……」
絶望が全身を支配したとき、光の閃光が天空を駆ける。
閃光は大蛇に当たって爆発した。
「なにっ!!」
ダルサイノは西の空を見る。
「あれはっ!!!飛空……艦隊?王家の残存艦隊!!」
聖都の燃える炎によって照らし出された空、船にプロペラを付けた艦隊が見える。
タグ:日本国召喚
気になるコラテラル・ダメージは交戦国だからチャラで。
弾丸の初速が不明ですが、仮に750m/sとした場合、着弾まで7秒以上かかることになります。
動く目標に対してはとても命中しそうもないのすが、魔導弾丸なので超高速だったのでしょう。
ということは、5km以内なら確実に狙った場所に当たるということなのか
ただ、イメージ的に静止射撃でしか使えなさそう
特化狙撃部隊の持つ銃の機種名?
銃神ダルサイノの専用銃の名称?
15o以上の弾頭を80口径以上の銃身で40o砲クラスの砲架で支持して23o以上の弾薬を用いなければ実現出来無さそうですねぇ
魔導レールってので5q先まで誘導するんだぞ