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クルセイリース大聖王国 聖都 セイダー 西側上空
王家直轄飛空艦隊 旗艦 メガ・クルス
『クルスカリバー効果無し』
無機質な報告が艦内に響く。
「おのれ、化け物め!!拡散フレアで焼いてしまえ!!」
『拡散フレアモード起動』
飛空艦隊の艦首が光り、空中に描かれた魔方陣が赤く光る。
魔方陣中心部から猛烈な炎が大蛇に向かって射出された。
中距離艦隊級極大火炎魔法 拡散フレア が使用される。
猛烈で大きい炎であったが、大蛇の大きさが規格外のため、体の一部を火で炙るように見える。
「ギョアァァァァァァァツ!!!」
大蛇の一つの口が大きく開き、空に一閃の光が走る。
光に触れた2隻の飛空艦が真っ二つに裂けて空から落つ。
『カーラス、スルズメイ轟沈!!』
「おのれっ!!目だ、目を潰すぞ。リュウセイを使用!!準備完了後すぐに撃て!!」
艦隊の前方に構築された魔方陣の色が変化する。
中心部から猛烈な数の光弾が射出された。
夜空に飛び交う光弾は、圧倒的なる大きさの化け物を包み込むかのように連続して当たる。
しかし……。
赤いレーザービームが夜空を駆けた。
当たった船は真っ二つに折れて地上に落ちる。
『トルビ、メルジロ轟沈!!』
「お……おのれぇ!!」
打つ手が無い……メガ・クルス艦長 サルガル は絶望の面持ちをする。
傍らには白髪、白髪の男が立っていた。
「今使用可能なすべての一斉射撃でさえ通用しない。王家直轄軍の指揮権を渡すことは本来ありえないが、非常時であり、今は貴方の力が必要だ。
シエドロン殿」
クルセイリース大聖王国第1飛空艦隊長であり、聖王女ニースと共に日本国を視察したシエドロン、日本視察において、政治的思惑とは異なる日本の真実を本国に報告したため、軍王ミネートの策略によって、飛空艦隊司令の座をターコルイズに交代させられてしまった歴戦の猛将。
彼は聖王女から非常招集の魔信を受け、王家直轄飛空艦隊と合流していた。
「承知した」
シエドロンは眼下の燃える聖都を見る。
「……おのれ、ゆるさんぞ……化け物め」
彼は静かな怒りに燃える。
(しかし……打つ手は無い事には変わりない。
一撃を加えない事には聖都は灰になる可能性が高い……。
通じる1撃……奴に通じる一撃……はっ!!)
「あれしか……無いのか」
覚悟……。
「艦長、王家艦隊はリンク飛行とリンク操作機能のある艦は何艦存在するか?」
「リンク飛行?確か旧式艦6艦を除き、残り全ての艦がリンク飛行及びリンク操作可能です」
「さすが王家……最新の艦がそろっている。
助かったぞ……可能な艦は旗艦へのリンク飛行をさせよ、私が全てを行う。
現時点をもってリンク可能艦は総員退艦指示、残る旧式艦6艦は西方向へいったん離脱し、我らが攻撃後、化け物が残っていたら引きつけて聖都から化け物を遠ざけさせてくれ」
「なっ!?まさか」
シエドロンは艦長に向く。
「全艦隊の全残存魔力を使用し、多次元魔力爆縮放射砲……メルガランテを使用する」
「し……しかし、あれは……艦隊が全て失われます。それに知っておいででしょう?あの魔法は魔方陣に参加している者の魔力を極限まで吸う。
それは艦に限られず、乗員の残存魔力すらもすべて吸われるのです。
飛行の維持すら出来ない。
艦隊がすべて失われるのですよ!!」
「……我らの現時点最大火力が通用しない。
そして、聖都の民が死に瀕している。
今使わずしていつ使うのだ?」
「ですが……あれは禁じられた魔法だ。使用すればシエドロン殿、貴方は助からない。
確実に死ぬ。
貴方は確実な死を選ぶ気なのですか?」
「私はあなた方王家直轄艦隊とは違う。クルセイリース大聖王国の軍人だ。
私1人の命で、王国臣民が……聖都が助かる可能性があるのなら、安いものだ。
こんな死に方が出来る者はそうそういない……むしろ幸せというもの……。
艦長、問答している暇は無い。
指揮権を委譲された私の命令だ。早く総員退艦を指示してくれ」
この魔法は不完全で、内部の者もまとめて死ぬ。
強力だが不完全な自爆魔法だ。
シエドロンは死ぬつもりだと知った艦長は、あふれる感情を抑え、ゆっくりと頷いた。
「……了解」
クルセイリース大聖王国の王家残存艦隊からは多くのパラシュートが開くのだった。
タグ:日本国召喚
これたよこれ。
目からレーザーが放たれた ということでいいんですよね?(口は単なる威嚇)
亀仙人にチャオズに天津飯に炎のシュレンにetcetc
効いたパターンは有人ドリルミサイルみたいな特攻系
旗艦のガウザーが撃墜されたので、臨時に旗艦になったのでしょう