2017年10月19日

2017年09月30日

第69話バルチスタ大海戦2P5


◆◆◆

 グラ・バルカス帝国海軍連合艦隊 旗艦 グレード・アトラスター

 おそらく敵の主力艦隊であろう、神聖ミリシアル帝国の艦隊……この世界で飛びぬけて強いとされる同艦隊に対しても、空母機動部隊の有効的な運用により、それなりの被害を与えた。
 現在戦艦を中心とする水上打撃部隊も同艦隊に向かっており、更なる戦果をもたらしてくれるだろう。
 やはりグラ・バルカス帝国は強く、今回の神聖ミリシアル帝国の軍を打ち破れば、大戦の流れを掌握する事も可能……。
 本戦いは、世界支配のための重要な一戦であり、敵がいかに弱かろうと決して手を抜く事は出来ない。
 連合艦隊司令長官カイザルは、そう考えていた。

 通信員が慌ただしく偵察機に問いかけている。

「嘘だろう……」

 戦場にあるまじき独り言も聞こえ、何度も確認を行っているようだった。
 確認を終えた通信員は、信じられないといった表情で、偵察機が見た状況を報告した。

「偵察機より報告、超大型の飛行機が敵艦隊に向かっています。同飛行機に刻印された紋章により、神聖ミリシアル帝国の航空機と判明、しかし……」

「?どうした?続きを読め!」

「はい……同飛行機は、大きさが目測で200メートルを超えています。飛行機というよりも、戦艦……空中戦艦が向かってきていると報告が……」

「な……何だと!!?数は!!」

「1機です。海上約200から300m上空を、目測速度約200kmで敵艦隊に向かっている模様です」

 一瞬の沈黙……。

「信じられんな……」

「航空力学以外の方法で空中を飛んでいるとしか思えませぬ……司令、戦艦水上打撃部隊に敵空中戦艦が到着する前に叩きましょう。戦闘機及び急降下爆撃機で攻撃を行いたいと思います。空中にいるのであれば、雷撃機は意味をなさないでしょう」

「……解った、許可する。しかし、まさか空中戦艦とはな……とんでもない世界だな……」

「この世界には魔法があります。もしかすると、偵察機の隊員が幻惑しているだけなのかもしれませんが、いずれにせよ本当であれば脅威です。装甲や攻撃方法等、詳細が判明していないため、なんとも言えませんが、まずは航空兵力で様子見をしましょう。
 空中に浮かんでいるという事は、重さが重要です。装甲は対した事がないかもしれません」

「了解した、攻撃を実施……撃ち落とせ」

「了解!!」

 グラ・バルカス帝国連合艦隊の空母から次々と発艦する攻撃隊……彼らは世界最強たる神聖ミリシアル帝国の保有する発掘兵器……空中戦艦パル・キマイラを撃沈するため、透き通るような青空に向かい、飛び立っていった。

タグ:日本国召喚
posted by くみちゃん at 23:15| Comment(1919) | 小説

第69話バルチスタ大海戦2P4


◆◆◆

 嵐のようなグラ・バルカス帝国の猛攻、波状的にやってくる航空機の攻撃は「猛烈」そのものであり、最強を誇るはずの神聖ミリシアル帝国魔導艦隊の被害は拡大し続けていた。

「小型艦ミロク、パルミダ、轟沈!」

「空母プーミア、被弾!炎上中!!」

「バ……バカな……そんなバカな!!!」

 最強のはずの魔導艦隊が燃える。あり得ない光景が眼前で広がり、司令レッタル・カウランは自らの価値観が音をたてて崩れゆくのを感じていた。
 
 複数回にもわたる猛攻の後、空からの敵は去って行った。

 〇 戦艦  轟沈1 小破3
 〇 空母  轟沈2 中破3
 〇 小型艦 轟沈5
 〇 重巡洋艦 操艦不能1 後自沈
 〇 巡洋艦 大破2

 信じられないほどの甚大な被害、必ず一矢報いなければと、彼は心に誓うのだった。

「偵察機から入電!我が方に航行中の艦隊を発見!!
 戦艦4、重巡洋艦4、巡洋艦8、小型艦20、計36隻の艦隊が我が魔導艦隊に向かって航行中!!」

 司令レッタル・カウランと参謀の目が光る。

「来たな……艦隊決戦だ!!」

 最も自信のある艦隊同士の殴り合い、数々の強国を滅ぼして来た……そして、何れ来るであろう全種族の敵、古の魔法帝国との戦いで、世界で唯一まともに戦える可能性のある艦隊を整えて来た。
 艦隊決戦に特化した戦力で敵を叩ける。
 司令レッタル・カウランは必ず敵を倒すと、心に深く決意を刻んだ。

「ムーより報告!世界連合艦隊に対しても、大規模艦隊が向かっている模様!!なお、報告中、ムーの偵察機は撃墜されたため、規模等詳細判明せず。」

「……主力艦から隊を2つに分けたか……。」

 元々世界連合に戦力など期待していなかったが、グラ・バルカス帝国の艦隊を引き付けたという意味においては役にたった。
 世界連合は数だけは圧倒的なため、旨く隙をつけば、ムーであれば少しは帝国にダメージを与える事が出来るかもしれない。

 めまぐるしく入る報告、彼の頭はフル回転を始める。

「司令!!」

 慌てた声で通信士が話しかける。

「今度は何だ!!」

 次々と上がる報告、今度は何だと、彼は少しうんざりした。

「第1級通信が入っています!!!!」

「な……なにっ!!一体何事だ!!!」

 第1級通信……国家における最優先事項が伝達される通信であり、その通信はすべてに優先する。
 たとえ戦闘中であったとしても、その受信は義務付けられていた。

「こんな海域で、どうやって通信してきたというのだ!!!」

 現在地は本国から直通の魔信が届く海域ではなく、さらに第1級通信は、第3国を通じて送る事を禁じられていた。
 司令と参謀の頭は多少の混乱に包まれる。

「映像付き通信です。開きます……しかし、なんて出力……。」

 艦橋に設置されたモニターに映像が映し出される。

「つっ!!」

 奇妙な光景……モニターの映像に、その場の全員が固まる。
 モニターの先では、全員が薄気味悪い仮面をかぶり、同じ服を着て動き回っていた。

 艦橋の軍人は、それが何かが理解出来なかったが、軍幹部たちはそれを見て緊張に包まれる。
 他の者とは異色の服を着用し、別種の仮面を被る人物がモニターの先で話始めた。

「軍の諸君……君たちは少し苦戦しているようだねぇ。」

 他の者たちに囲まれたその人物は、その人員配置から考えて、おそらくその通信先の代表なのだろう。

「あ……あなたたちは……何の御用でしょか?」

 司令は尋ねる。

「レッタル・カウラン君……これは皇帝陛下の御慈悲だよ。」

 腕を後ろに組み、独特の話し方をするその者は続ける。

「軍の諸君、自己紹介が遅れたねぇ……。
 私は対魔帝対策省古代兵器戦術運用対策部……運用課……古の魔法帝国の遺産、古代兵器、空中戦艦パル・キマイラ2号機の艦長……メテオスという。
 今回、諸君らが苦戦をするかもしれないと予想された皇帝陛下から直接派遣を命ぜられた者だ。
 空中戦艦パル・キマイラは2艦派遣されている。内1隻……我々の船は間もなく諸君らのいる空域に到達するだろう。」

『パ……パル・キマイラ!!!』

 司令レッタル・カウランも含めて全員が驚愕に包まれる。
 一般兵にあっては噂程度しか知らない空中戦艦パル・キマイラ、古の魔法帝国が開発した兵器とされ、そこで働く者たちは軍と身分を変え、全員がそれぞれを特定しないように暗号で呼び合い、そして顔の特定さえも防ぐため、仮面をかぶると言われる。
 現在の神聖ミリシアル帝国の技術水準では決して作れぬ発掘戦艦である超古代兵器の投入、各兵はこの戦いに掛ける皇帝陛下の思いを感じるのだった。

「へ……陛下が援軍を……しかもパル・キマイラを送って下さるとは……まさか古の魔法帝国の兵器が投入されるとは……。」

「フッフッフ……軍の諸君、我々は、間もなく君たちのいる艦隊上空を通過する。攻撃しないでくれたまえよ……陛下の大切な剣なのでね、ところで、今貴君らに向かっている艦隊があるようだね……君たちの進路の邪魔だから、
彼らは我々が片づけよう。」

!!!!!!
驚く一同、パル・キマイラは、確かに古の魔法帝国の遺産であり、空中戦艦と呼ばれるほど強力という噂がある、しかし、我が艦隊も対古の魔法帝国戦のために磨かれた軍隊、発掘戦艦がいかに強力であろうと、自分達と互角に渡り合う敵に対して……しかも36隻もいる敵艦隊に、たったの1隻で立ち向かうのは無謀に思えた。
 まして、操っているのは軍幹部ではなく、いわゆるお役人なのだから……。

(戦いの素人が何を言っている……)

 レッタル・カウランは、口に出しかけた言葉を飲み込んだ。

タグ:日本国召喚
posted by くみちゃん at 23:14| Comment(10) | 小説