2019年06月08日

第93話 暗躍するリームP2


「我が国は世界に対し、日本国に武力で敵対しないと宣言する……貴国は、我が国の港にたまたま敵国の艦船があったからと先制攻撃を行うような野蛮な国ではないだろうと信じる。 大切な事なので繰り返そう。
 我が国は武力的に日本国と敵対する意思は無い。
 我が国に被害が出るような事は決して許すことは出来ない。
 仮に、我が国に駐留したグラ・バルカス帝国が、勝手に貴国を攻撃しても、我が国ではなくグラ・バルカス帝国がやったこと。
 決して我が国への攻撃は許さない。」

「なんという詭弁、我が国では我が国を攻撃しようとする軍事力への攻撃は法律で許されているとお伝えする」

「それは攻撃しようとする国が当事者である場合ではないのかね?
 貴国は敵対意思が無い他国を攻撃して良い法律は無かったと思うがね?」

「貴国の態度は良く解った。今回の我が国の意見は追って連絡する!!話にならん」

 城川は、会議を打ち切り、退出するのだった。
 
 会議室に残されたリーム王国陣営。
 一人の若手が心配そうにフェルダスに話しかけた。

「課長、大丈夫でしょうか?リームの港を攻撃されたら甚大な被害が出ます。現時点リームの軍事力は日本国に遠く及びません」

「フン、奴らは自らの法で自分達を縛っている。あれほどの力を持ちながら、バカな奴らだ。
 先制攻撃など決して出来ぬ。
 そして、グラ・バルカス帝国が本気で日本を攻撃したとき、奴らの反撃能力は潰される。 帝国の軍事艦艇総数は不明だが、判明しているだけでも日本の艦艇数を遙かに上回る。 圧倒的な生産能力は日本国の遙か上を行く。
 そして、艦の速度は同等、砲撃力は帝国の方が上。
 海戦での結果は火を見るよりも明らか……結果、我が国は安泰だ」

 彼は続ける。

「フン、日本国の力など無くとも、グラ・バルカス帝国の力で我が国は十分発展する。
 早期に技術移転を受け、グラ・バルカス帝国に取り入り、フィルアデス大陸を制圧し、植民地の民を使い、圧倒的生産力をもって……日本国、お前たちも我々にひれ伏す事となるだろう。 リームは今より遙かに発展するのだ!!!
 ふ……フハハハハハハ!!!」

 リーム王国と日本国の交渉は決裂した。
 日本国政府は、彼らの行動に頭を悩ませるのだった。

 後日、グラ・バルカス帝国は大量の船をリームへ寄贈、リーム王国船舶の名の下、グラ・バルカス帝国とリーム王国を往復し、港湾施設や本国の空港を再整備するのだった。

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第93話 暗躍するリームP1

第3文明圏 リーム王国 王都ヒルキガ

 リーム王国王都にある外国家群対策部海洋国家課
 課長フェルダスは考え込んでいた。
 王によって決定されたムー国に対する国外退去命令、そして日本国の企業、及び日本国民に対する資産凍結。
 
 同施策は実行される予定であった。
 しかし、日本国民の国外退去は見送られる。
 王の命令文には「日本国に敵対意思は無い旨必ず伝えるように」とある。

 どう考えても敵対行為をしておきながら、敵対意思は無いと伝えよと言う。
 間もなく日本国大使が来訪する予定があった。
 
「フン。まあ良い。奴らの国はこれで攻撃は出来まい」

 数々の修羅場をくぐり抜けてきた彼は、自信に満ちあふれていた。
 コンコン……。

 ドアをノックする音が聞こえる。

「フェルダス課長、日本国大使の方がお見えです」

「来たか……」

 フェルダスは、意を決し、応接室へ向かうのだった。
 
◆◆◆

 応接室では、日本国大使の城川が待つ。入った瞬間にピリピリとした空気が感じられた。
 日本国は大国であるため、同対応には課長フェルダスとその部下らが対応する。
 話題は日本国への経済措置から始まった。

「日本国に関する資産凍結とは、いったいどういうことでしょうか?日本国政府は貴国の行為に関して遺憾の意を表明します。
 すぐに資産凍結決定を解除していただきたい」

 城川は、凄まじい剣幕でフェルダスに要求する。
 彼の体の大きさが威圧感を加速させ、覇気が感じられるほどだった。

「これは王国で決まった事、今更覆ることは無い」

 フェルダスは言い放つ。

 各国で活動している日本国企業、当然リーム王国内にも多くの日本企業が存在し、経済活動を行っていた。
 仮に凍結されると日本国企業に対するメージは数千億円にのぼり、さらに個人としてもリームに済む日本人の生活は立ちゆかなくなってしまう。
 
「極めて遺憾である。
 貴国が資産凍結を実施した場合、我が国は貴国への輸出禁止や資産凍結を含む報復措置を取らざるをえなくなる。
 すぐに解除を要求します」

「解除は……無い」

「では、貴国は日本国に対し、敵対的措置を執る。これでよろしいのか?」

 城川は語気を落とし、フェルダスを睨み付けた。
 人を小馬鹿にしたような目つきで、フェルダスは話し始めた

「人聞きが悪いな、敵対的措置では無く、経済的な意見の対立だ。決して武力での敵対措置を取ったわけでは無い」

「では聞きたい。
 貴国がグラ・バルカス帝国にセニアの港を解放し、ムー国との国交断絶に乗りだした。 他国がこれを見て、敵対行為ではないと考える国がいったい何国あると思いますか?
 すべての国が敵対行為と感じるだろう」

「我が国が国交断絶を言い渡したのはムー国だ。日本国では無い」

「詭弁だ。ムーと日本は同盟関係にあり、グラ・バルカス帝国と日本国は戦争状態にある。
 敵国に港を解放し、飛行場を持つムーを追い出した。これはどう考えても我が国に対するグラ・バルカス帝国の攻撃準備である」

「そうとは言えん。現に我が国の行為は貴国は敵対行為と断じたが、我が国に武力で敵対の意思は無い」

「では、軍艦や軍用機は受け入れないのか?」

「攻撃のための軍用機とグラ・バルカス帝国が明言すれば受け入れない。
 親善訪問であれば当然受け入れる」

「結局は軍を受け入れるのではないか!!!名前を変えただけで、全く脅威度は変わらない。日本国政府は貴国の行為を敵対行為とみなすだろう」

「攻撃用の軍事力では無い。あくまで親善訪問であれば受け入れると言っている。何度でも言おう。敵対行為では無い……」

 フェルダスはいやらしくにやける。
 そして、まとわりつくような口調で話し始めた。
 
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posted by くみちゃん at 16:18| Comment(13) | 小説

2019年05月19日

第92話 帝国激震3P5


◆◆◆
 
 ロウリア王国 王都ジン・ハーク 酒場 竜の酒

 クワ・トイネ王国侵攻が失敗に終わり、王が捕らえられるという前代未聞の屈辱を味わったロウリア王国。
 軍事費が大幅に削減されて一時的には混乱したが、国の建物や民間には被害が極めて少なく、日本国と近かったこともあってかつての侵攻前を凌ぐ豊かさを国民は享受していた。 
 まだ王国を名乗って入るが、実質的に民間の合議による国家運営が始まっており、クワ・トイネ公国、クイラ王国とも不可侵条約を結び、国交は正常化、また、ロウリア王国は日本国と中央世界や第3文明圏を結ぶハブ港としても栄え始めていた。

 港湾施設は各国共に以前とは比べものにならないほどに発展していたが、隣国にクワ・トイネ公国という食料庫があり、大陸という特性を生かし、圧倒的な土地を利用して大倉庫を整備、各種部品や家電製品、車等の在庫を受け入れる。
 これらの国策がハブ港としての効果を押し上げていた。

 そんな発展を取り戻しつつある文明圏外国家、ロウリア王国の王都ジン・ハークにある有名な酒場「竜の酒」では、酔っ払いどもが話をしていた。

「グラ・バルカス帝国が日本国に対して烈火の如き怒りを表明したそうだの」

 少し小太りの第3文明圏の商人がはなし始めた。
 やせ形の戦士が酒を一杯飲み干し、それに答えた。

「俺たちロウリアの民は、日本の恐ろしさを嫌というほどに味わった。
 日本国が圧勝するだろう」

 ダンッ!!!
 机を叩く音がこだまする。
 酒場の物達は音のする方向を見た。
 ローブを着た男が1名、震えている。
 時折透ける素顔は、痛々しいまでのやけどの跡があった。
 彼は話し始める。
 
「グラ・バルカス帝国は強い……俺は世界連合艦隊のとある国家の保有する艦の艦長として、大海戦に参加した」

 初めて聞く生きた海戦の話。
 酒場の物達はこの男の言に注目した。

「国の名前は言えない。俺は逃げている……逃亡兵だからな。
 世界連合艦隊、途轍もない大艦隊だった。
 その艦艇は海を埋め尽くし、上空を飛ぶワイバーンロードやムー国空母機動部隊の戦闘機はそれはそれは雄々しかった。
 この艦隊の前にはどんな相手でも鎧袖一触。そんな空気が流れていた」

 男は急にガクガクと震え始めた。

「しかし……しかし、奴らは強かった。いや、強すぎるんだ!!!
 解るか?ワイバーンロードを遙かに凌ぐムー国の戦闘機が、為す術も無く撃墜され、上空から落とされる爆弾は練度が高く、正確に友軍艦艇に着弾し、あっさりと数百人を消すんだ!!
 数百人がどんどん……途轍もない速さで殺されていくんだ!!
 艦艇による砲撃威力も、距離も、そして艦艇の速さも……途方もないものだ。
 その強さ、ムー国でさえ、全く歯が立たなかった」

 震える声は、本当にその者が恐怖に怯えていた事が理解できた。

「奴らの航空機から打ち下ろされる光弾、それだけで友軍艦艇は炎に包まれた。
 無力……奴らの前ではすべての者が無力なんだ!!
 日本が勝つだと?甘い!!蜂蜜に砂糖をまぶしてチョコレートをかけたよりも甘いわ!!
 グラ・バルカス帝国は世界連合にも勝利した。保有艦艇数の面からしてグラ・バルカス帝国が圧勝するに違いない!!
 砲撃力はグラ・バルカス帝国の方が上。防御力、艦艇速力は日本とグラ・バルカス帝国は拮抗しているそうじゃないか。
 それだけでも日本国の強さは相当なのがうかがえる。
 しかしな、重要な艦艇数は圧倒的に帝国が上だ!!」

 逃亡兵の言葉に酒場は静まりかえった。

「グラ・バルカス帝国が日本を攻撃するなら、日本国の品物が大倉庫にたくさん置いてある必ず我が国も被害を受ける。
 日本には勝ってもらわなければ困る」

 ロウリア王国の商人が、不安から声を発す。

「帝国の砲は日本のよりも遙かに攻撃能力が上というのは本当らしいぞ」

 誰かが話す。
 ロウリア王国の民は、グラ・バルカス帝国の影に怯えるのだった。

タグ:日本国召喚
posted by くみちゃん at 14:58| Comment(4460) | 小説