2017年11月06日

第70話バルチスタ大海戦3P1

バルチスタ北方海域
 
 見る者に圧倒的な畏怖を与える艦隊が進む。
 彼らは白い航跡を引き、戦艦を含む重厚な艦隊は、圧倒的な力強さを見る者に与える。
見た目のみであれば、その艦隊に比べると、自衛隊の護衛隊群でさえも弱々しく見える事だろう。
 
 グラ・バルカス帝国連合艦隊から別れ、神聖ミリシアル帝国の主力艦隊に打撃を与えるべく編成された36隻の艦隊、第1打撃群は北東へと進んでいた。

 第1打撃群、戦艦8、重巡洋艦8、駆逐艦20隻は神聖ミリシアル帝国魔導艦隊に進路を取る。

 特に、今回は敵船の数が多いため、総合力を駆使してダメージを与えるための「初撃」としての役割を与えられ、海を進んでいた。

 第1打撃群艦隊司令カオニアは、旗艦ベ・テルギスの艦橋で海の先を睨む。
 横には歴戦の参謀、定年退職寸前のバーツが立つ。

「敵の大艦隊への初撃か……この数では苦しい戦いになりそうだな」

「はい、ただ本作戦は敵に攻撃を加えて混乱させる事を目的としています」

 艦橋において2人が話していると、どうも通信兵の様子がおかしい。

「何かあったか?」

 司令カオニアは通信兵に尋ねた。

「……本隊より入電、敵艦隊後方上空に、巨大な飛行物体が接近しつつある!
 敵艦隊と合流するものと思われる。細心の注意を払い作戦を続行せよ。
 なお、敵巨大航空機に対しては航空攻撃を行う予定、現在発艦中。
 との事です」

 一瞬の沈黙……。

「巨大な航空機だと?どの程度の大きさか確認しろ!!」

「はい、現在確認中です」

 通信士との会話……途中にレーダー監視員が割り込んだ。

「レーダーに感あり、今お話ししていた飛行物体かと思われます……こっ……これは!!この大きさは!!」

 絶句するレーダー監視員。
 司令と参謀はたまらなくなってレーダー画面に駆け寄り、自らの目でその画面を注視した。

「!!!!!!!!!!!!!!」

 レーダ上に映る「それ」は非常に大きな輝点であり、そこに向かって真っすぐに飛ぶ友軍機が写る。

「なんという……大きさだ!!」

「化け物め!!」

 かつて戦ったことの無いタイプの敵に、緊張感は高まっていく。

◆◆◆

 グラ・バルカス帝国海軍 第18航空隊

『敵は飛行物体としては非常に大きい。距離の誤認による衝突に十分注意せよ』

 無線からは緊迫した指令が飛ぶ。

「いったい何なんだ?」

「戦艦のような物体が空を飛んでいるらしい。信じられるか?」

 ジュピター型急降下爆撃機に乗るクルオズとノルジオは、かつてない指令内容と、本当であれば、前世界においても見た事が無い敵の情報に困惑する。

「そろそろ見えてきてもいい頃だが……」

 二人は前方の空を注視する。

「おい!あれを見ろ!!」

 操縦していたノルジオは、10時の方向低空に何かを発見した。
 細いひし形を3方向に伸ばし、それを円で囲んだような巨大な物体が、ゆっくりとではあるが移動している。

「おいおい、冗談だろ?何だよあの大きさは!!!」

 驚愕するクルオズ、彼らが目標発見の合図を送ろうとした時、すでに護衛戦闘機がそれを発見したようだった。
 付近に他の敵航空機は無く、アンタレス型艦上戦闘機13機は前方に出てバンクした後、10時の方向に向きを変える。
 彼らはスロットルをいっぱいにし、突撃を開始した。

「護衛機が先にいったぞ」

「あれだけ図体がデカいと良い的だな」

「ああ、しかし巨体に効果があれば良いが……」

 急降下爆撃隊は、戦闘機による初撃の効果が確認できなかった場合に備え、上昇しつつ進路を目標に向ける。


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2017年10月19日

2017年09月30日

第69話バルチスタ大海戦2P5


◆◆◆

 グラ・バルカス帝国海軍連合艦隊 旗艦 グレード・アトラスター

 おそらく敵の主力艦隊であろう、神聖ミリシアル帝国の艦隊……この世界で飛びぬけて強いとされる同艦隊に対しても、空母機動部隊の有効的な運用により、それなりの被害を与えた。
 現在戦艦を中心とする水上打撃部隊も同艦隊に向かっており、更なる戦果をもたらしてくれるだろう。
 やはりグラ・バルカス帝国は強く、今回の神聖ミリシアル帝国の軍を打ち破れば、大戦の流れを掌握する事も可能……。
 本戦いは、世界支配のための重要な一戦であり、敵がいかに弱かろうと決して手を抜く事は出来ない。
 連合艦隊司令長官カイザルは、そう考えていた。

 通信員が慌ただしく偵察機に問いかけている。

「嘘だろう……」

 戦場にあるまじき独り言も聞こえ、何度も確認を行っているようだった。
 確認を終えた通信員は、信じられないといった表情で、偵察機が見た状況を報告した。

「偵察機より報告、超大型の飛行機が敵艦隊に向かっています。同飛行機に刻印された紋章により、神聖ミリシアル帝国の航空機と判明、しかし……」

「?どうした?続きを読め!」

「はい……同飛行機は、大きさが目測で200メートルを超えています。飛行機というよりも、戦艦……空中戦艦が向かってきていると報告が……」

「な……何だと!!?数は!!」

「1機です。海上約200から300m上空を、目測速度約200kmで敵艦隊に向かっている模様です」

 一瞬の沈黙……。

「信じられんな……」

「航空力学以外の方法で空中を飛んでいるとしか思えませぬ……司令、戦艦水上打撃部隊に敵空中戦艦が到着する前に叩きましょう。戦闘機及び急降下爆撃機で攻撃を行いたいと思います。空中にいるのであれば、雷撃機は意味をなさないでしょう」

「……解った、許可する。しかし、まさか空中戦艦とはな……とんでもない世界だな……」

「この世界には魔法があります。もしかすると、偵察機の隊員が幻惑しているだけなのかもしれませんが、いずれにせよ本当であれば脅威です。装甲や攻撃方法等、詳細が判明していないため、なんとも言えませんが、まずは航空兵力で様子見をしましょう。
 空中に浮かんでいるという事は、重さが重要です。装甲は対した事がないかもしれません」

「了解した、攻撃を実施……撃ち落とせ」

「了解!!」

 グラ・バルカス帝国連合艦隊の空母から次々と発艦する攻撃隊……彼らは世界最強たる神聖ミリシアル帝国の保有する発掘兵器……空中戦艦パル・キマイラを撃沈するため、透き通るような青空に向かい、飛び立っていった。

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