2022年05月31日

第132話世界の防錆戦3P3


◆◆◆

 サルカ城 迎賓室

 会議参加者達は、迎賓室へ移動し、会議が始まる。

「これより、シルカーク王国の意思決定に関する会議を開催します」

 司会の挨拶により、会議が始まる。
 クルセイリース大聖王国の軍外交カムーラは会議相手の多さに方眉をつり上げた。

「ふん……弱者連合か」

 朝田は今まで何度も体験してきたタイプの相手であり、うんざりする。
 一方高圧的態度のとられた事の無いパーパルディア皇国軍の者達はあからさまに顔に不快感が出る。

「まあ良い」

 カムーラはかまわずに続ける。

「で、シルカーク王国の代表よ……。
 我らが栄光の支配を受け入れ、国繁栄する道を選ぶか?
 それとも、愚かにも反抗し、国滅ぶ道を選ぶのか。
 聞かせてもらおう」

 カルクはカムーラを睨みつけてゆっくりと話す。

「我らが答えは決まっている」

 沈黙……。

「ほう、では聞こう」

「我が国、シルカーク王国は無礼で品が無い愚か者による支配を受け入れるつもりは全く無い!!!
 尻尾を巻いて帰られよ!!!!」

 カルクは声を荒げる。
 迫力のある声に、場に緊張が走る。

「バカめ!!レベルの低い北西世界の弱小国がどれだけ徒党を組もうと、我がクルセイリース大聖王国の歩みを止められるものではない!!!
 おまえ達の行動は全く合理性が無い。
 自分たちの無知が国民を滅ぼす事になるという事を理解しているのかっ!!」

 カムーラも語気が強まる。
 彼は日本国とパーパルディア皇国の使者を見渡した。

「おまえ達の決定も、我が国の力を知らない無知が故による行動だ。
 シルカーク王国に協力するという事は、我がクルセイリース大聖王国にたてつくという事だぞっ!!!
 我らが陸兵は魔力増幅機により、1人1人が強力な魔法を使える力を有する。
 圧倒的な航空戦力たる大飛空艦隊がおまえ達の首都の空をも埋め尽くす事になる。
 それを知っての決定か!!」

 カムーラの言に我慢出来なくなったパーパルディアの将が吠えた。

「解ってないのは貴様達の方だっ!!この蛮族があっ!!」

 場が静まる。


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第132話世界の防衛線3P2

◆◆◆

 シルカーク王国 王都タカク サルカ城

 小高い丘に作られたサルカ城、2重防壁に囲まれ、鎧を着た兵達が走り回る。
 まもなく訪れる可能性のある『戦争』に、兵達は緊張感をもって準備を進める。

 同城の来賓室、同部屋の窓から空飛ぶ船が見えた。

「皆様、クルセイリース聖王国が来ました。
 あれが彼らの飛空艦です」

 シルカーク王国外務担当のトップ、外務郷カルクは来賓室で、事前に座っていた者達に説明する。
 当初、砲艦外交で従属を迫られ、2ヶ月の猶予を言い渡された。
 
 相手国は日本国のヘリコプターよりも大きな乗り物でやってきた。
 高度文明を持つ事は明らかであり、それほどの文明を有しているにも関わらず、どの文明圏にも属していなかった。
 小国たるシルカーク王国はこのままでは蹂躙されてしまう。

 たったの2ヶ月の間、彼は愛する国を守るために奔走する。
 中央世界へ圏外文明国侵攻を訴え、神聖ミリシアル帝国が動き、日本国が重い腰を上げる事となった。

 日本国……恐怖のグラ・バルカス帝国大艦隊を葬り、ムー大陸から帝国陸軍をたたき出した国、カルクは日本国の自衛隊派遣の決定を聞いた瞬間、国が救われたと歓喜し、涙を流した。
 今、当初は恐怖で迎えたクルセイリースの大使を、今は余裕をもって出迎える事が出来る。

 彼はとてつもなく長く感じた2ヶ月を振り返りながら、来賓室の者達を見渡す。
 フカフカのソファーには、

○ 日本国外務省 朝田
○ 海上自衛隊第4護衛隊群 海将補 平田
○ 陸上自衛隊シルカーク王国派遣混成団長 大内田
○ パーパルディア皇国対圏外文明国防衛艦隊司令長官バイア
○ ワイバーンオーバーロード竜騎士団長 ハムート

 他、防衛の要となる……我が国を救うであろう者達がいる。
 本来であれば、シルカーク王国のみで相手に対応するところではあるが、未知なる国の砲艦外交という事もあり、連合国で対応する事としていた。

 飛空艦が練兵場に着陸する。
 部下を引き連れ、軍外交官のカムーラはサルカ城へ向かうのだった。



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第132話世界の防衛線3P1

「それでは、会議を始めます」

 菱形の卓上に各艦長および軍幹部、作戦参謀が着座する。
 後ろの円形状の机には中堅幹部が並んだ。

「まずは新飛空艦隊司令長官ターコルイズ様から挨拶をしていただきます」

 各人が直立不動となって、ターコルイズを見る。
 彼が手で合図をすると、一斉に着席した。
 旧飛空艦隊長シエドロンは、日本国の幻惑魔法にかかった可能性があるとされ、軍王ミネートの力が働き、司令を外されていた。

 眉毛が太く、がっちりとした体型のターコルイズはゆっくりと話す。

「諸君、栄えあるクルセイリース大聖王国はこれより新世界の開拓に乗り出す。
 圧倒的なる技術と富を持つ我がクルセイリース大聖王国によって支配される国々の民は生活水準が上がる。
 支配されし国の民達に幸せをもたらす事が出来る。
 圧倒的なる軍事力をもって、支配領域を拡大し、新世界を統合して永遠の繁栄を築く、その第1撃目に我らは選ばれた。
 我らが名は歴史に大きく刻まれるであろう。
 今回の攻略対象国はシルカーク王国と呼ばれる国だ。
 我が国の主戦力たる飛空艦隊の半数が投入され、その数は100隻を超える。
 これほどの大戦力が投入されれば、鎧袖一触、相手にもならん。
 それでは諸君、新世界開拓を始めよう!!」

『おぉぉぉぉぉっぉぉ』

 熱気をもって会議が始まった。

「しかし、今回すさまじい戦力の投入ですな、過去1回戦にこれほどまでの大戦力を投入した事がありましょうか……」

 新世界開拓軍飛空艦隊旗艦 100門級飛空戦艦ダルイアの艦長、タンソーが感想を述べる。

「それほど国の期待が大きいという事だ。
 100隻……実に王国所有艦の半数というすさまじい数だ。
 シルカーク王国の国力は低いが、新世界の東部の雄たる列強パーパルディア皇国が出てくる可能性が高い。
 また……まあこれは幻惑魔法にかけられた可能性が高く、強さも怪しいところだが、日本国という強国が出てくる事も想定している。
 日本国は我が国の旧式飛空艦のようなものを運用していたという目撃情報もあり、彼らが本当に強かった場合をも想定した大艦隊だ」

「過剰とも言える戦力投入ですが、これは軍王ミネート様のご指示でしょうか?」

「そうだ」

「微かな懸念すらも、大きく想定して事を動かす。さすがミネート様ですね」

 これより大戦争が行われ、大艦隊が衝突する事を前提に話が進む。
 軍外交官カムーラは苦笑いしながら手を上げた。

「皆様、おそらく99.9%以上の確率で我が国と新世界は衝突するでしょう。
 しかし微かな可能性として、シルカーク王国が外交で属国となる可能性もございます」

 ターコルイズ司令は豪快に笑う。

「おお、そうであったそうであった。
 そろそろ期限の2ヶ月が来るのであったな。
 まあ衝突回避の可能性は限りなく低いが……外交が失敗した場合、飛空艦で飛び立ったらすぐに通信を送れよ。出撃準備は整えておくのでな」

「はっ!!もちろんすぐにご報告いたします」

「カムーラ、もうすぐにシルカークへ行って良いぞ」

「では、私は先にシルカークへ意思確認のために行って参ります」

 軍外交のカムーラは退室してシルカークへ向かう。
 侵攻会議は進み、滞りなく終了した。

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