2022年09月13日

第136話古の超兵器P4


◆◆◆
 
 2週間後〜

 シルカーク王国 日本大使館

 朝田は大使館の窓から東の空を見ていた。

「……本当か?」

 先ほど入った通信によると、クルセイリース大聖王国の外交担当がシルカーク王国日本大使館に会談を申し入れてきた。
 しかも事前に入った無線では停戦に向けた話し合いがしたいとの事だ。

 クルセイリース大聖王国の空中艦隊を自衛隊が退け、タルクリスにある敵基地に打撃を与えた事は聞いている。
 
 初戦で大きな打撃を与えたため、戦略が大きく変わった可能性もある。
 しかし……。

「猛烈にいやな予感がする」

 組織とは合理的に考えて動けるものではない。
 それは現代日本でさえ、信じられないほど非効率な動きになる場合もある。

 あれほどの国力差を見せつけたにも関わらず、戦争に舵を切った国が、急に合理的になるなど不自然だ。

「来たか……」

 東の空に1隻の飛空艦が見えた。
 船はシルカーク王国のワイバーンに誘導されて着陸体制に入っている。

「さて……行か」

 クルセイリース聖王国は会談を日本国へ申し込んで来た。
 しかし既にシルカーク王国とパーパルディア皇国は当事者である。

 シルカーク王国の求めにより王城で会談する事となった。

 朝田はシルカーク王国の用意した馬車で王城へ向かう。


■ 王城

 カムーラは会議室の扉の前に立っていた。

 内心は穏やかでは無い。
 前回の外交での言動は、反発しか生まないだろう。

 栄えあるクルセイリース大聖王国の軍外交ともあろう私が、芝居のようなものとはいえ蛮族どもに頭を下げなければならない屈辱。
 国のため、国のためと自分に言い聞かした。

 しかも、これは自分の独断でやっているという事になっている。
 組織は守ってくれず、上手く行けば良いが、失敗すれば最初から切り捨てるつもりだ。
 成功させるしか道は無い。

 カムーラは胃に痛みを覚えながら、会議室の扉を開く。

「ぐっ!!」

 会議室はピリピリとした空気が漂う。
 前回と同様のメンバーが既に着座しており、皆厳しい目つきをしていた。

「こちらへお座り下さい」

 促されて席につく。

 会議が始まった。


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第136話古の超兵器P3



◆◆◆

「戦闘分析室からご報告します。
 敵は明らかに強い、いや、強すぎると言って良いでしょう。
 しかし、これほどの損害を我が方に与えるという事は、敵も主力たる大戦力をシルカーク王国周辺海域に集結させていると見て間違いありません。
 そしてその大戦力は我が国に向けられるでしょう」

 流れる沈黙。
 突然訪れた想定外の国家の危機に、皆焦燥感を隠せなかった。
 ただ一人の人物を除いて。

「今我らに向けられた大戦力を1カ所に集めて殲滅してしまえばよい。
 我が国にこれほどまでに損害を与えた大戦力を失えば奴らも簡単に再建出来ないだろう
 そして、我が本土にはとてつもない戦力があることが解ると、簡単に攻めてはこれまい」

 軍王ミネートの言葉に耳を疑う。
 それが出来れば苦労は無い。
 軍王は続ける。

「西の軍事都市、ワカスーカルトへ敵艦隊を誘い出せ。
 罠を貼るのだ。
 一斉攻撃で効果が無ければキル・ラヴァーナルを起動して殲滅する」

 荒唐無稽な案に、カムーラは軍王に問う。

「軍王様、いったいどうやって敵戦力を集中させるというのですか?」

「例えばだ、和平交渉がしたいので大使を我が国の歴史ある都市へ来てほしい。
 和平の気持ちが本物である事を示すため、単艦ではなく艦隊でワカスーカルトまで派遣してほしい……とでも伝えればどうか」

「警戒されます。
 私なら単艦を先行させ、艦隊は少し離れた位置、街をいつでも攻撃可能な箇所に配置します」

「ふむ、まずは艦隊を派遣させる事は、外交努力で何とかしろ。
 我が国民を納得させるために艦隊を見える位置まで派遣してほしい……等、言い訳は自分で考えろ。 目視出来ぬ位置まで下がられたら私に考えがある。
 まだ言えぬが艦隊が我が国の200km圏内に入るのであれば後は何とかする。
 カムーラ、お前は敵の艦隊を派遣させる事を考えろ」

「ワカスーカルトへ被害が出る可能性があります」

「そこは気にするな、元々軍人ばかりの街だ。
 家族の避難も迅速に出来る」

「ミネート様、恐れながら我が国が和平を申し入れ、それによってやってきた大使や艦隊を攻撃すると、国として約束を守らないと思われ、今後の統治に大きなマイナス要因となります。
 なによりも、聖王子様が反対なさるかと」

「ん?何を言っている、カムーラよ。
 お前は軍へ拝命する際、命をかけて国に仕えると誓ったはずだが?」

「??誓いましたが、この行為は国益に反します」

「勘違いしているようだな。
 国として動くのでは無い。
 国際的にはお前が独断で突っ走るのだ。この件に国は感知しない。
 解ったか?お前が自主的にそれを行うんだ。
 さすれば最悪の場合であっても国へのダメージは少ない。
 お前に愛国心があるなら……よく考えて自主的に行動せよ、解ったな」

「!!!!」

 組織に切り捨てられた!!カムーラに衝撃が走る。
 軍王という絶対的圧力。
 任意という名の強制。
 軍王の言葉はとてつもなく重い。
 指示を受けた場合、「はい」「承知しました」「解りました」しか選択肢は無い。

 もしも断ると、物理的に首になるだろう。
 軍王ミネートは無能には厳しいが、成功者には手厚い事で知られる。
 国益になれば、昇進がまっているに違いなかった。

「……解りました」

 カムーラは胃に痛みを感じる、穴が開きそうなほど痛い。
 彼は生き残るため、そしてチャンスをつかむために頭をフル回転させるのだった。


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第136話古の超兵器P2


「なにぃ?貴様……名前は何だったか。
 軍外交担当ごときが、この私へ意見するというのか?」

 カムーラは眼光鋭くセイルートを見る。

「私はカムーラと言います。
 ところで、報告書はきちんと読まれたのか?」

 カムーラの語気が強まった。

「私は日本軍の攻撃をこの目で見たのだ!!
 目に見えないほどに速く、そして強い攻撃が正確に行われる。
 その威力は竜騎士団の火炎弾の比ではない!!いや……艦隊級の極大爆裂魔法を超える威力だった。
 ターコルイズ司令は艦隊級極大閃光魔法及び3重にも及ぶ防御陣を使用したが、時速にして2800km以上の悪魔的に速い攻撃を1発たりとも防ぐ事は出来なかったのだ!!」

 カムーラ自身、かつてターコルイズに暴言を吐いた手前、日本国が強いといった言は、言いたく無かった。
 しかし日本国の攻撃を眼前で見て感じた。
 圧倒的なる戦力差を意識せざるを得ない、真の恐怖を味わった。
 真実を伝えなければ国の意思決定に関わり、意思決定が誤れば国滅ぶ可能性さえも感じる戦力差、彼は国のために己の信を貫く。

「貴様!我々が弱いとでも言いたいのか!!」

 セイルートの強い言動、カムーラの眼光が鋭くなる。

「飛空艦隊に歯の立たない儀礼的な意味で残されている竜騎士団が今更出てきたところで、この次元の戦いにおいては的以外の意味は無いと言っているのですよ。
 犠牲が増えるだけだ。
 失礼ですが、聖都に長くいすぎて、現実離れしているようにしか見えません。
 竜騎士団では日本国には歯がたたない。
 いや、北西世界での列強、パーパルディア皇国のワイバーンロードが相手であっても惨敗するだろう」

「き……き……貴様ぁぁぁぁっ!!!私を侮辱するのかぁ!!」

 議場は紛糾する。

「もう良い!!!!!」

 軍王の一括により、場の空気が震え、皆が沈黙した。

「セイルートよ、カムーラの言っている事は事実だ。
 この戦いのレベルにおそらく竜騎士団はついて来られない。
 ただ、それを否定するなら戦う「場」を与えてやる。
 言のみではなく、実績で……結果で示せ」

「ぐっ……解りました。
 結果で示しましょう」

「そしてカムーラ、言っている事は正しいかもしれぬが、セイルートはお前よりも序列が上、言い過ぎだ。
 言動に気をつけろ」

「はっ!!失礼いたしました!!」

 軍王の苦言の後も会議は進んだ。


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posted by くみちゃん at 23:32| Comment(6) | 小説