「被害報告!!」
『装甲展開用の魔素はすべて使い切りました!!魔導機関損傷無し、の出力安定!!』
『電磁波反射式レーダー破損、使用不能!前部外殻損傷、魔素安定化に影響有』
「!!!電磁反射式レーダーが損傷したのか?復旧は可能か!!」
『完全にもっていかれました。修復不能』
「なっ……」
敵の攻撃は魔導レーダーに反応しない。
どうやったのかは全く検討がつかないが、本当に反応しない。
そんな中、唯一の魔力不使用の攻撃を防ぐための超高性能の目が失われる。
他の後ろに控える飛空艦も劣化版のレーダーは備え付けてあるが、リンク機能が無いため、正確に飛翔位置を把握するためには、魔信で話し続けなければならなかった。
撤退したい所だが、飛空艦が後ろに控えており、攻撃の要、聖王家の象徴、もはや神話を具現化したとも言える聖帝ガウザーが撤退する事があって良い訳が無く、ガウザーの撤退はクルセイリース大聖王国の王家敗退と同じ意味を持つため、出来ない。
「なんという事だ……」
絶望の中、ガウザーはつぶやく。
そんな中、追い打ちがかけられる。
『敵、大型誘導弾が近づいてきます!!!距離20,超低空から亜音速で近づいてきます!!』
魔導望遠装置を眺めていた監視員が運良くSSM−1Bを発見した。
「くそっ!!何と言うことだ!!しかし……亜音速で間違いないな?
下部アトラタテス砲は使用可能か?」
「はい、上部は冷却中ですが、下部は使用可能です!!」
今回の誘導弾は遅くて大きい。迎撃可能な可能性が高い。
勝機はある。
ガウザーがにやけた瞬間……
『敵大型誘導弾上昇!!』
「いかん!!すぐにアトラタテス砲で迎撃!!」
『射程外です!!』
「閃光魔法だ!!クルスカリバーを使用せよ!!」
『しかし!敵の攻撃に魔素が無く、電磁反射式レーダー故障中のため光学手動照準になります!!』
「かまわん!」
『了解!!クルスカリバー(極大閃光魔法)放射!!』
聖帝ガウザーの前方に六芒星が出現した。
その中心部から目視可能なレーザーが宙を駆ける。
「当たれ!!当たるのだっ!!もやは装甲が無い!!頼む、当たってくれぇ!!」
神速の誘導弾に比べて今回のは、亜音速であり、酷くゆっくりと見える。
とはいえ、音速に近い速度が出ているため、当たりそうなのに当たらない。
「着弾まで3……2……1……」
「く……くそぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」
イージス艦みょうこうから発射された90式艦隊艦誘導弾改(SSM−1B改)は、古代魔法帝国(ラヴァーナル帝国)の遺産、空中戦艦、聖帝ガウザーに命中、実に260kgにも及ぶ弾頭はガウザーの表面装甲を粉砕して内部に侵入して高性能爆薬に着火し、その威力が解放された。
猛烈な炎と圧力は艦内を駆け巡り、兵達を焼き尽くしながら圧力の弱い方に向かう。
やがて、空中に巨大な十字架の光と炎が出現し、周囲に爆音が響く。
聖帝ガウザーは3つに折れ、炎を纏いながらゆっくりと地上に墜ちていく。
地上に衝突したそれは、猛烈な炎と爆発を伴いながら、周囲の草木を焼き尽くすのだった。 司令アロエリット、艦長ガンドライトは苦しむ間もなく戦死。
後方から聖帝ガウザーに続いていた飛空艦隊は、その壮絶な最期を唖然としながら見守るのだった。
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